ブンキテン
Life日常 / 個人の記録

ガシン。つくばのパン屋で、パーソナルスペースについて考えた。

行列でお盆が背中に当たった体験から、パーソナルスペースとは何か、日本人の距離感の変化まで考えてみた。

text by 原 奈都良
ガシン。つくばのパン屋で、パーソナルスペースについて考えた。のカバー画像

つくばで有名な某パン屋に行った。昼時で行列ができていた。


後ろに並んだ人の距離感が、近かった。最初は気のせいかと思っていたが、行列が進むたびにぐっと詰めてくる。最終的にはお盆が私の背中に「ガシン」と当たった。厳密に言えばニョッくらいの感触だったが、確かに当たった。


こういう人もいるんやなぁ、と思った。

パーソナルスペースという概念

1966年、文化人類学者エドワード・T・ホールが「プロクセミクス(人間の空間感覚学)」の中でパーソナルスペースの概念を提唱した。人が無意識に確保しようとする空間のことで、4つのゾーンに分類されている。


**親密距離(0〜45cm)**は家族や恋人など、ごく限られた関係の人のみが入れるゾーンだ。**個人距離(45〜120cm)**は友人知人と話す際の距離。**社会距離(120〜350cm)は職場や初対面の人との距離。そして公衆距離(350cm〜)**は講演や演説など公的な場で取る距離だ。


行列での待機は「社会距離」に相当するのが一般的とされる。120cm前後を保つのが普通だ。あのお盆はどう考えても45cmを切っていた。


日本人は欧米と比べてパーソナルスペースを広めに取る傾向があるとも言われる。加えて、コロナ禍を経て他者との物理的な距離への意識はさらに変化した。「ソーシャルディスタンス」という言葉が日常に刷り込まれた結果、他人との距離を以前より意識するようになった人は少なくない。ある調査ではコロナ後も「他人との距離を保ちたい」と感じる人が6割を超えたというデータもある。

こういう人が一定数いる

とはいえ、パーソナルスペースの感覚は人によって大きく異なる。


育ってきた環境、文化的な背景、そもそもの気質。気づいていない人もいれば、行列は詰めるものだという感覚で育ってきた人もいるかもしれない。悪意はないと思う。怒る気にもならなかった。


ただ、私は今後もゆったりとした間合いを取り続けたいと思っている。それが自分なりの「快適な距離感」であり、相手へのさりげないリスペクトだと感じているからだ。


パン屋のパンは美味しかった。それで十分だ。

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